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桂本万葉集

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8月 第56回現日書展 出品作品 「臨 桂本万葉集」


桂本万葉集は、現存する最も古い万葉集の写本です。
伝承筆者は紀貫之ですが、
実際は高野切第二種に似ている筆跡から
源兼行と言われています。
書写は11世紀半ばから後半。
後の世に、加賀藩の前田家から桂宮家に贈られたたことから
「桂本万葉集」という名がつけられたそうです。



万葉集の写本は、平安期に数々書かれたようですが、
五大万葉集として、
桂本万葉集・藍紙本・金沢本・元暦校本・天治本が
残っています。
その中で、清楚な品格をもち、
それでいて粘り強く弾力のある線質をもつ、
桂本万葉集が私は最も好きです。



そもそも万葉集というのは、
「万葉仮名」という漢字の意味とは関係なく、
漢字の音訓だけを借用して
日本語を表記する文字で書かれたものです。

万葉集の歌を益荒男ぶり(ますらおぶり)とよく言いますが、
男性的でおおらかな歌風をいうそうです。
それに比例して、文字も男性のみが使用したとされる
「万葉仮名」別名「男手」(おのこで)で書かれていました。

それが後の平安期になって
万葉仮名と女手(現代のかなと変体仮名を混ぜる書体)を
並記することにより、
当時の人々は読みやすくする努力をされたのでしょう。
でも現代の私たちには、それでも読むのは難解ですが・・・




久しぶりに仮名の原寸臨書をしました。
「桂本万葉集」の字粒の原寸は、かなり小さなものです。
最近、老眼が進み、細かい文字が見えにくくなっているのです。
今のうちに書かないとそのうち書けなくなると、
トライしてみたものの、やはり見えない・・・
苦肉の策で老眼鏡に取り付け式の虫眼鏡をつけたのですが、
焦点を合わすのに時間がかかりました。

全部で8メートルを超える臨書作品となり、
書き終えた達成感は凄かった・・・
と言いたいところですが、
もっと何度か書くべきでした。

時間的な制約にあきらめざるをえず、
まだまだ途上、甘いところが一杯の作品です。

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