昨日は「TOKYO書2016 公募団体の今」の
アーティストトークに行ってきました。
現日会の代表、高橋八惠子さんが
大勢のギャラリーの前で今回の出品に対する思いを
見事に語られました。
八惠子さんが今回題材とされたのは、
源実朝のうた
「大海おほうみの磯もとどろによする浪われてくだけて裂けて散るかも」
大海の磯を轟かすように寄せる大波
割れて、砕けて、裂けて、散るのだなあ
という、意です。
この歌は、万葉集に載っている3種からの引用があります。
「伊勢の海の磯もとどろに寄する波かしこき人に恋ひ渡るかも」
「大海(おほうみ)の磯もと揺り立つ波の寄せむと思へる浜の清けく」
「聞きしより物を思へば我(あ)が胸は破(わ)れて砕けて利心(とごころ)もなし」
3つの歌を繋ぎあわせたと言えるのかもしれませんが、
時代を超えて、実朝が和歌を学んでいるうちに、
それらの歌の言葉を、自分のものとして、
その場面に遭遇した際に、自然に表現したものと言われています。
実朝は、鎌倉幕府を開いた源頼朝と北条政子の子供ですが、
兄の頼家が亡くなったあと、
北条氏のお飾り将軍でした。
実権を母の政子に握られ、
孤独な将軍と言われ、
甥の公暁に暗殺されましたが、
その暗殺計画をも本人は承知していたと言われています。
自らの死を覚悟して、
自分を波に例えて、
「われてくだけて裂けて散るかも」
と、うたったのでしょうか・・・
高橋さんの作品は、
仮名作品としては、
漢字のような強さを持っています。
自らも「強さ」を意識したとおっしゃっていましたが、
平安の貴族社会の歌と違い、
厳しい武家社会における実朝の置かれた境遇を、
その「強さ」で見事に表されているように感じました。
昨日のアーティストトークは、
たくさんの観覧者に囲まれ、
始まる前は、とても緊張するとおっしゃっていましたが、
高校で教鞭をとっておられるので、
さすがに堂々としたお話ぶりでした。
観覧者の中には、
背の高いご主人が、
カメラをかまえておられ、
夫婦愛も覗かせていただきました。
一方、もうひとり
現日会の代表の今井香子さんの作品です。↓
山登りやサイクリングが趣味の香子さんは、
自然をテーマに「山川草木」
雄大な景色を感じさせてくれます。
「TOKYO書」は東京都美術館が主催されて、
美術館を使用する各団体の若手の代表者が集う書展です。
若手の書家にとっては、とても良い勉強の場となりますし、
書道界にとっても、今後の書道界を引っ張る人材の育成という意味で
大変意義のある催しです。
できるだけ長く継続していただけることを
願いたいと思います。
アーティストトークに行ってきました。
現日会の代表、高橋八惠子さんが
大勢のギャラリーの前で今回の出品に対する思いを
見事に語られました。
八惠子さんが今回題材とされたのは、
源実朝のうた
「大海おほうみの磯もとどろによする浪われてくだけて裂けて散るかも」
大海の磯を轟かすように寄せる大波
割れて、砕けて、裂けて、散るのだなあ
という、意です。
この歌は、万葉集に載っている3種からの引用があります。
「伊勢の海の磯もとどろに寄する波かしこき人に恋ひ渡るかも」
「大海(おほうみ)の磯もと揺り立つ波の寄せむと思へる浜の清けく」
「聞きしより物を思へば我(あ)が胸は破(わ)れて砕けて利心(とごころ)もなし」
3つの歌を繋ぎあわせたと言えるのかもしれませんが、
時代を超えて、実朝が和歌を学んでいるうちに、
それらの歌の言葉を、自分のものとして、
その場面に遭遇した際に、自然に表現したものと言われています。
実朝は、鎌倉幕府を開いた源頼朝と北条政子の子供ですが、
兄の頼家が亡くなったあと、
北条氏のお飾り将軍でした。
実権を母の政子に握られ、
孤独な将軍と言われ、
甥の公暁に暗殺されましたが、
その暗殺計画をも本人は承知していたと言われています。
自らの死を覚悟して、
自分を波に例えて、
「われてくだけて裂けて散るかも」
と、うたったのでしょうか・・・
高橋さんの作品は、
仮名作品としては、
漢字のような強さを持っています。
自らも「強さ」を意識したとおっしゃっていましたが、
平安の貴族社会の歌と違い、
厳しい武家社会における実朝の置かれた境遇を、
その「強さ」で見事に表されているように感じました。
昨日のアーティストトークは、
たくさんの観覧者に囲まれ、
始まる前は、とても緊張するとおっしゃっていましたが、
高校で教鞭をとっておられるので、
さすがに堂々としたお話ぶりでした。
観覧者の中には、
背の高いご主人が、
カメラをかまえておられ、
夫婦愛も覗かせていただきました。
一方、もうひとり
現日会の代表の今井香子さんの作品です。↓
山登りやサイクリングが趣味の香子さんは、
自然をテーマに「山川草木」
雄大な景色を感じさせてくれます。
「TOKYO書」は東京都美術館が主催されて、
美術館を使用する各団体の若手の代表者が集う書展です。
若手の書家にとっては、とても良い勉強の場となりますし、
書道界にとっても、今後の書道界を引っ張る人材の育成という意味で
大変意義のある催しです。
できるだけ長く継続していただけることを
願いたいと思います。