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漢字かな交じり書の名品

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先日、ある方よりプレゼントしていただいた、
天来書院発行の「漢字かな交じり書の名品」という本をご紹介します。

      

今更定義するまでもありませんが、
漢字かな交じりの書とは、
現代人が使用している漢字とかなが交じった詩や文を、
素材とした書作品を言います。

本書は、明治から昭和にいたる書家と文人の名品を集め、
書家は美術評論家の田宮文平先生が、
文人は文部科学省の教科書調査官の中野遵先生が、
その作品の選定、総論・解説を担当しておられます。

漢字かな交じり書というのは、
歴史の浅い、新しい書の分野なので、
古典の手本があるわけではなく、
何をたよりに書いたらよいのか?と、
作品制作をされる方は、誰しも迷いが出るのではないかと思います。

私もその一人ですが、
こうでなければならないという束縛がなく、
自由に思いのまま書くことができるという点が、
良いところで、楽しくもあります。

この本を拝見し、
名品の数々に、心躍る思いがありました。
その解説を読ませていただき、
名品が生まれる所以を垣間見ることができました。
今後、作品制作の上で、参考にさせていただきたいと思っています。

       

口絵に掲載されている、私の好きな 須田剋太の書↑



文人編の種田山頭火の解説に、
次のような山頭火の文が紹介されていました。

小学校の児童制作展覧会を観て
「一年生の字はまことにありがたい。三年四年となると もうよろしくない。
 うまくなるだけ いけなくなるのだ。
 私はなによりも稚拙を愛する。
 上手ぶるのも嫌だが、下手めかすのは一層嫌だ」(其中日記)

上手く書こうと思って書くものではなく、
下手に書こうなんて思うのは、なおわざとらしく、
嫌味な作品になるということでしょうね。
自分の素が肝要。。。





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